HARU-3-

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 拓巳を迎えに行ったら、なぜか隣に小柄な女子の姿。  デニムのショートパンツから伸びた真っ直ぐな脚。白いパーカを羽織っている桃葉も、俺が来て驚いている様子からして、拓巳が仕組んだとすぐに分かった。  修学旅行のあの日から、特に言葉を交わすこともなく、なるべく視界に入れないようにしてたのに。  「女子がいた方が楽しいじゃん。俺のお友達なんだから別にいいだろ?」  そう言って車に乗り込んだ拓巳。お友達ってとこを強調して言うあたり、全く教育実習の成果がなかったとしか思えなくなる。  「さすがに教師と生徒が海にドライブはマズいから、新井は悪いけど帰って」  どう考えても、リスクが高すぎる。困っている生徒を送り届けたとかそういうのなら分かるものの、夏休みに海って、誰かに見られたら……おしまいだ。  だけど、そう思っているのはどうやら俺だけのようで、後部座席に拓巳と桃葉がいる。もっと拒否したらよかったんだろうけど……気持ちが上向いてしまうんだ。
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