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 「あ、連絡先教えて?夏休み、時間が合ったら遊ぼうよ」  「……彼女さんいるじゃないですか」  「彼女?もう終わったよ。社会人の男と浮気されたから」  「先生が浮気されるなんて……イメージないなぁ」  「ま、そういうことだから、気兼ねなく遊んでよ」  デニムのポケットから携帯を出した先生が、私を待っている。  「拓巳くんの失恋に付き合いますよ、受験生だけど」  勢い任せで呼び方を変えてみたりして。  「いいねぇ、そういうノリって結構好き」  電話帳に、緒方 拓巳の表示。その少し下に、椎名 晴。今はもう繋がらない晴くんの連絡先。  「早速だけど、明後日予定空いてる?」  「……大丈夫だったはずです」  目を斜め上に向けて、記憶を確かめた。  「よっしゃ、じゃあ8時にマンションの前に来て。海に行こう!」  「海?!」  「せっかくだし少し遠くの海に行かない?」
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