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「おっはよー、ハルくん」
早速乗り込む先生と、呆然と立つ私。そして、そんな私を見つめる晴くん。
「おい、拓巳。俺と2人じゃなかった?」
「女子がいた方が楽しいじゃん。俺のお友達なんだから別にいいだろ?」
先生はそう言って後部座席のスライドドアを閉めてしまった。
「さすがに教師と生徒が海にドライブはマズいから、新井は悪いけど帰って」
やっぱり、ももって呼んでくれないんだ。もしかしたらって期待してたのに。期待しただけ無駄だったのかな。
「ももちゃん、おいで」
晴くんの横をすり抜けて、先生が内側から開けてくれたドアから乗り込んだ。
「拓巳!本当に誰かに見られたら大変なことになるだろって」
「知り合いなんかあったことないじゃん、あの海で。いいから早く行こうぜ」
はぁーっと盛大なため息をついて、運転席に回り込む晴くん。
デニムに派手なビーチサンダルを履いて、プルオーバーのカットソーの胸元にサングラスを差した晴くんは先生っぽくない。私の知っている晴くんなんだ。
今日なら誤解も解けるかもしれない。学校じゃなかったら名前で呼び合えるような距離に戻れるかもしれない。
それだけでいいから……。
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