6

7/14
前へ
/656ページ
次へ
 後部座席の斜め後ろから運転する晴くんを見つめる。初めて見たその姿は、すごくカッコよくて釘付けになる。  ハンドルを片手で捌いたり、バックミラー越しに目が合ってしまったり……。  「ももちゃんは、免許取らないの?」  「大学は昂明にしようと思ってるから、実家から通えるし、必要ないかなって思って」  「そっか。でも大学に入ったら欲しくなるかもしれないから、そしたらすぐ取ったほうがいいよ。俺なんて3年の夏にやっと取ったんだけど、やっぱり会った方が行動範囲広がるし、海にだって行けるしで楽しみも増えたからさ」  「その時は、そうします」  「拓巳、ちょっとうるさい」  運転していた晴くんが、いつの間にかサングラスをしている。  「はいはい、すみませんね。後輩が話してるのが羨ましいからって、ご機嫌斜めな教師は嫌われるぞ」  「別に俺はそういうのじゃないから。本当にうるさいだけ」  「こわっ。ももちゃん、なんかハルのご機嫌斜めだけど、気にしなくていいから、2人で海で遊ぼうね」  「あ……うん……」  そんなに怒らなくてもいいのにな……やっぱり来ちゃダメなら、車に乗せなかったらいいのに。  そう思ったら、自然と唇が尖ってむくれた表情になってしまう。
/656ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1335人が本棚に入れています
本棚に追加