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後部座席の斜め後ろから運転する晴くんを見つめる。初めて見たその姿は、すごくカッコよくて釘付けになる。
ハンドルを片手で捌いたり、バックミラー越しに目が合ってしまったり……。
「ももちゃんは、免許取らないの?」
「大学は昂明にしようと思ってるから、実家から通えるし、必要ないかなって思って」
「そっか。でも大学に入ったら欲しくなるかもしれないから、そしたらすぐ取ったほうがいいよ。俺なんて3年の夏にやっと取ったんだけど、やっぱり会った方が行動範囲広がるし、海にだって行けるしで楽しみも増えたからさ」
「その時は、そうします」
「拓巳、ちょっとうるさい」
運転していた晴くんが、いつの間にかサングラスをしている。
「はいはい、すみませんね。後輩が話してるのが羨ましいからって、ご機嫌斜めな教師は嫌われるぞ」
「別に俺はそういうのじゃないから。本当にうるさいだけ」
「こわっ。ももちゃん、なんかハルのご機嫌斜めだけど、気にしなくていいから、2人で海で遊ぼうね」
「あ……うん……」
そんなに怒らなくてもいいのにな……やっぱり来ちゃダメなら、車に乗せなかったらいいのに。
そう思ったら、自然と唇が尖ってむくれた表情になってしまう。
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