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「わぁー気持ちいい!」
毎年行く海より、人手の少ない離れた街の海。白い砂浜にパラソルが並んでいる。車から降りて見えた海の青でテンションが上がっていく。
「俺、先に乗っていい?」
「いいよ、俺ちょっと泳いでからにするから。コイツいるから交代でいい?」
私の事をコイツと言った晴くんが、後ろに積んでいたサーフボードを出して先生に渡した。
先陣切って走り出した先生と、タオルとか色々を持って私の前を歩く晴くんは、結構な距離がある。そのせいでなんだか2人で海デートしてるみたいだ。
パラソルの下にシートを敷いて、デニムのショートパンツを脱いでから座る。さすがに海は暑くて、着ていたパーカのファスナーを全開にして袖を捲った。
「……え、なに?」
「いや、何でもない。俺、着替えてくるわ」
晴くんの視線に気付いて問いかけたものの、ウェットスーツを着た先生が隣で身体を伸ばしている間に、晴くんは更衣室に消えてしまった。
「分かりやすいヤツ」
「ん?」
先生がそう呟いて、私は聞き返したけど笑顔しか返してくれなかった。
水着、変だったかな。それとも、気合い入ってるとか思われちゃったかな……。下ろしていた髪を1つに結って、日焼け止めを塗り直した。
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