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 どくん、どくん。  熱くなる頬にペットボトルを当てて、隣の晴くんを横目で見ては、サーフィンをしている先生に視線を逃がす。  どくん、どくん。  一向に静かになってくれないドキドキは、晴くんが動くたびに飛び上がる。  濡れた肌が私のパーカと触れるだけで意識してしまう。タオルで軽く拭いた前髪からは水が滴っていて……色っぽくて困るんだ。  「勘違いするなよ、別に深い意味はないからな」  「……分かってるよ」  って言いつつも、本当は嬉しかった。俺の女って言われて、それが嘘だとしても。  「だから来るなって言ったんだ。2回もナンパから助けるとか面倒だし」  「ごめんなさい」  「休みのプライベートくらい、先生はしたくないんだよ」  「しなくていいよ。いつも通りの晴くんでいいよ」  前髪が束になった隙間から切れ長の瞳で私を見る彼は、ほんの少し微笑んでいる。  「そんな簡単に言うな」  ウェットスーツを持って立ちあがると、私の頭にサングラスを乗せて着替えに行ってしまった。
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