HARU-3-

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 運転中に話しかけられるのがダメだとか、高速に乗ったら集中したいとかそういう男もいるらしいけど、俺はそうじゃない。だけど、真後ろで楽しそうに桃葉が話しているから、気に掛かって仕方ない。俺だって話したいのに、拓巳ばかり話しては盛り上がっている。  バックミラー越しに目が合ったけど、運転があるからすぐに戻した俺。桃葉はどうして俺を見ていたんだろう。運転しているのを初めて見たとかかな……好きな相手は望月なんだもんなぁ……。  自分から諦めようとしているくせに、諦められずに夏休みが終わりそうな予感。ただでさえ会ってしまったら逆効果だって思っていたのに、拓巳はそんなのお構いなしだ。  「拓巳、ちょっとうるさい」  目が合っても分からないようにサングラスをした。  ちょっとキツく言ったら、桃葉が唇を尖らせてふくれっ面になっている。柔らかそうだなって思ってしまうのは、本当に不謹慎だし教師として最低なんだと思うけど、俺も一応男なんだから仕方ないんだ。
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