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(落ち着け落ち着けこんな事でいちいち熱くなるな俺、相手はただの生意気盛りの小娘にすぎん。
ここは冷静になって大人の余裕と俺の紳士度(意味不明)を見せつけてやれば万事解決だろう)
「へ、変質者はないんじゃないかな~。
言っとくけどね~、お兄さんより優しい人なんてなかなかいないんだよ」
「?」
正志は少女に出来る限りのお人好しスマイルを向け
「そうだな~、自分で言うのもアレだけど。
俺より無害なヤツなんてナマケモノしかいないジャングルと夜のスラム街くらいにしかいないんだぜ」
「その2つが対極の位置にあるってわかってますか、お兄さん」
さらに不安を煽っていた。
「もういいです。走って帰るのでさよならです、夜のスラム街のお兄さん」
「ちょっと待った。なんかものすごい誤解をしてない」
セリフを早口に言いながらどしゃ降りの雨の中を駆け出そうとする少女を引き止めようと正志が手を伸ばした、その瞬間。
ガリッ
思いきり人指し指を噛みつかれた。
「いっっっっっっってえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー……」
人間の噛みつく力とは意外に侮れない、誰でも1度くらいは自分の舌を思いきり噛んでしまった事があるだろう。
そしてそれは予想以上に痛い。
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