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そして正志は少女を抱えたまま自身が住む男子寮まで帰りつくと、寮母の目を警戒しながら素早く玄関を抜けてそのまま自分の部屋へ。
そこで大きめのバスタオルを数枚、タンスから引きずり出すと一気に部屋を飛び出して寮の大浴場に駆け込み、脱衣場を抜けて少女を風呂場に放り込んだ。
と、そこまでは勢いでなんとかなったのだが、ここに来て問題が浮上したのだ。
少女の着替えがない。
言うまでもなく先ほどの雨で少女の服や荷物は全滅、正志の服を貸してあげる事を考えていたが。
よく考えてみれば高校生と小学生だ、サイズなど合う訳がない。
「ぶえっくしゅっ!」
などと考えていたら急に体に寒気がした。
(そう言えば俺も着替えてなかったな)
さっき部屋に帰った時に着替えも一緒に持って来なかった事を後悔しつつ、彼女の着替えは一時保留にしてとりあえず濡れた服を脱いでバスタオルで体を拭くことにした。
「うわっ、パンツの中までっ」
シャツを脱いでタオルで体を拭きながら空いている手でびしょ濡れのズボンのベルトに手をかけた、その時だった。
「林堂く~ん、そこにいるの~?」
「正志ーー、どこだー」
脱衣場の扉を叩く音とおっとりとした女性の声そしてなぜか親友の声が突然、扉の向こうから響いてきた。
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