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正志はとにかく周囲を手当たり次第に見回した。
どうにかして彼女に何かを着せてあげなければ自身の命がない。
だが、ここは正志と少女を除けば無人の脱衣場だ。
都合よく服など置いてあるはずなどない、無論雨に濡れた服を再び着るなど論外だ。
希望はないとあきらめかけたその時、正志は視界の隅にソレを見つけた。
それは脱衣場の隅にもうしわけ程度に設置された洗面台、そこに誰かが忘れて行ったらしきドライヤーがあった。
(しめた。あれで服を乾かしてさえしまえば)
「ちょっと君!」
そう彼女を呼んだ、その時だった。
ズルッ
突然、下半身から何かとんでもない違和感が電流のように走った。
違和感の正体を求めて、下を向くと正志は瞬時にその答えにいき当たった。
先ほど体をタオルで拭いていた時、寮母様たちがドアをノックしてきてあわてて対応していたため正志はズボンのベルトが外れたままなのだ。
今までは雨で濡れた布地が肌に張り付いてなんとかもち堪えているが、もうそれも限界だ。
直そうにも今は両手とも離す事が出来ない。
そして
「!?」
呼ばれた少女が正志の方に振り向いた瞬間、まるでタイミングを測っていたかのようにズボンは床に落下した。
「ひっ!」
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