488人が本棚に入れています
本棚に追加
「昔何をしていたかは知らんが、なんでも歴代の男子運動部の部長たちをアームレスリングで全員倒したとか、あの岩倉先生と互角に戦ったとか、色々噂のある人だからな」
「へ~そうなんだ~」
「ところで」
正志はスッと目を細めてある一人り視線を送った。
「何?、まだ頭が痛いの?それとも頭が悪いの?
大丈夫、あんたの頭の悪さはもう治せないから安心して諦めなさい」
「うるせぇよ、余計なお世話だ。
つーかそこじゃねぇよ。なんで“咲々”と“御山”がここにいるんだよ」
正志の視線の先にいたのはクラスメイトの勝ち気そうな笑顔が似合う短髪の少女、東雲 咲々(しののめ ささ)と腰まである少しはねっ毛のある長い髪で顔の上半分を隠した周囲になんとなく暗い雰囲気を与えてしまう少女、御山 涼(みやま すず)だった。
「何故って?、そりゃあ勉強会するために決まってるじゃない」
「だからそこでもねー。なんで女子禁制のこの男子寮にお前らがいるんだって聞いてんだよ」
咲々と涼は同時に義隆の方に視線を向けた。
「「だって義隆(君)が」」
憤怒の視線を義隆に送る。
「待て待て正志、俺たちには集まって勉強できる場が必要だったし。
それにここの規約に、厳密には女子禁制とは書かれてはいない」
最初のコメントを投稿しよう!