雨の日にウサギを拾う

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引くほど奇抜な髪型にいかついサングラスにちょび髭。 正直言って完璧だ、ここまでは完璧な時代錯誤な感じの不良なのだ、が。 その男らしい少し太めの首から下は硬派な男の象徴である長い黒の学ランではなく、蝶々や花を連想させるまるでフランス人形のようなフリフリのゴシックロリータのドレスだった。 そのゴスロリリーゼントがコインパチンコの台の前に置かれたイスに腰掛けて舐めるようにその台を見据えていた。 それを見た瞬間、まるで蛇に睨まれた蛙のように正志は動けなくなった。 「やっぱりこの台の釘の配置が悪いのかしら~ん……。 あ~ら、お客さ~ん?」 そのゴスロリリーゼントがこちらに気づいて話しかけてきた、しかも”オネエ口調“で。 「ヒィ!」 正志は思わず悲鳴が口から漏れだしそうになるのを必死に堪えた。 「いらっしゃ~い。でも、ボク~学生が寄り道なんかしちゃダ・メ・よ」 「は、はい。なんかすんませんでしたぁー」 その瞬間、糸が切れたように悲鳴だか叫びだかわからない返事をすると正志は一目散(いちもくさん)にエスカレーターへと駆け寄り、そのまま2、3段飛ばしでエスカレーターを駆け降りた。 たいした距離を走った訳ではないと言うのに心臓の鼓動が恐いくらい速く、嫌な汗が中のシャツをグッショリと濡らしていた。
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