人生リセットボタン

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廊下を走ったのを先生に見られた僕達は、その後、長い説教を貰ってしまった。俊まで巻き込んでしまった事に罪悪感が湧く。 視線を俊に送り、ごめんと小さく呟くと俊は微笑してくれた。 説教から解放されて、2人して教室に入る。幸いにも、1時間目は自習だったので遅刻にはならなかった。 「あのハゲ、話長いんだよ!」 俊が不満を振りまきながら、一番前にある席に座る。僕の席は窓際の後ろなので、直接話すにはどちらかが相手の席に近付かなければならない。 まぁ、今は僕が俊の机の前に立っているから、そんな事どうでもいいけど。 「ってか、秀生!元はと言えば、お前が俺の足を踏んだのが原因だ。罰として、ノート写させろ!」 「言ってる事がおかしいよ……。だいたい、僕の頬を引っ張った俊が悪い」 僕が腕を組んで、眼を細めると俊は黙った。僕が言った事に反論する言葉を探しているのだろうか。 「あ、あれは……い、いつもの挨拶だろ……」 狼狽える俊に僕は溜め息を吐き出した。そして、一言 「ふーん……。謝らないなら、ノートはもう見せない」 「え!?お、俺が悪かったです!ごめんなさい!!だから、ノートはっ、ノートは写させて下さい!お願いします!!」 ……必死だなぁ…… 机に頭を強く打ち付ける俊。必死なのが伝わった。 だが、必死に謝るのは良いけど、クラスメートがクスクスと笑っているのも気にしてほしいものだ。他のみんなは、僕と俊のやり方に馴れているから面白いんだと思う。 「はい、良く出来ました。でも、僕は課題やるね」 ひらひらと手を振って、そのまま俊を放置する。僕の席である窓際の席に座り、外を眺める。 直視出来ない太陽、流れる雲、飛んでいる鳥の群れ、そして窓に写る幼い僕。 巻き戻した時の中、今は父さんが死なない方法を考えよう。僕は自習の時間をそれに費やした。
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