デートをしようか

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「……この話は終わりだ。」 重くなった空気を振り払うように伊織が言った。 伊織は立ち上がると、グイッと俺の腕を引っ張って立たせた。 「倉庫部屋に来るように言ってある。そこで新しい奴に会わせてやる。」 伊織はそう言って優しく笑った。 伊織がこんな風に柔らかい笑みを見せることは滅多にない。───俺の前以外では。 俺以外の人の前では滅多に笑わず、基本無表情だ。 それが、俺が特別だということを物語っていて、嬉しくなる。 「どうした?」 「……っ!」 伊織が怪訝な顔をして、見惚れていた俺はハッとして「何でもない。」と顔をそらした。 「その新しい【朱雀】の幹部の人は、もう来てるの?」 気まずさを誤魔化すようにそう訊ねる。 「…ああ。多分もう倉庫に着いてるだろ。だから、少し急ぐぞ。」 そう言って伊織が玄関に向かうのを、俺は慌てて追いかけた。
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