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「…伊織。ソイツ。」
彼が俺を顎でしゃくって伊織に訊ねた。
初対面で雑な扱いをされ、少しだけ戸惑う俺。
伊織は俺の肩を抱き寄せると、
「前に言っていた奴だ。」
そう答えて口角を歪めた。
その何とも曖昧な答え。
俺は「?」となっていたけれど、目の前にいる彼には通じたらしく、驚いたように目を見開いた。
「…マジか。」
たった一言、そう呟いただけで、黙りこんでしまった。
…何だか気まずい。
「伊織、あの……」
俺は助けを求めるように伊織を見上げ、それに気づいた伊織はフッと笑った。
「雅臣。コイツが会わせたかった奴だ。
新しい【朱雀】の幹部、聖辺 十羅(ヒジリベ トオラ)だ。」
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