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十羅と呼ばれたその人はソファから立ち上がった。
冷たさを感じさせる瞳を俺に向け、無表情のまま凝視してくる。
居心地の悪さを感じつつ俺もじっと見つめていると。
「…で、お前は?」
「…え?」
肝心な部分を一切省かれただろう質問に虚を突かれる。
「名前だよ。」
「あ…」
この人は喋るのが苦手なのだろうか。
口を開くたびに発される言葉数があまりにも少なく、肝心な部分を言わない為に、何が言いたいのかわからない。
「宗野 雅臣、と言います。あの……よろしくお願いします。」
「………。ふーん。」
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