デートをしようか

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過ぎたこととは言え。 その名前を耳にすると心臓が嫌な鼓動を刻むのは変わらない。 「…あ、悪ィ。今の禁句だったか?」 「……いや。」 しまった、というような十羅さんの表情。 彼女の名前を口にしたことに、他意はなかったみたいだ。 一気に空気が重苦しいものになり、気まずい沈黙が流れる。 この状況をどう打開すべきか思考を巡らせていると、十羅さんがおもむろに口を開いた。 「……で? 近いうちに俺のお披露目か何かすんだろ?」 「ああ。」 「するなら早いとこ予定決めてくれよ。こっちも休学解除の手続きとか色々しなきゃなんねーし、暇じゃねーんだよ。」 「なら、その手続きとやらが全部片付いてからでいい。お前に合わせる。」 俺より高い位置で交わされる会話。 正直、俺は半分部外者だから、2人のやり取りの場にいても仕方ないように思える。
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