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「よし。じゃあ決まりだな。」
十羅さんが少し大きな声で言った。
「学校の方がもたつかなきゃ、来週ぐらいからまたこっちの高校に行けるだろうしな。」
十羅さんのその言葉に、伊織が頷く。
何だかよくわからないうちに、話が纏まったらしい。
…別にいいけど。
俺は伊織の恋人なだけであって、暴走族じゃない。
それでも少しだけ、自分が不必要な場にいることに苦々しさを感じる。
「んで? 総長殿のこの後の予定は、そこで不貞腐れてる恋人とデートですかね?」
「…えっ?」
十羅さんの言葉に、思わず顔をあげる。
十羅さんは楽しそうな顔で俺を見ていた。
その表情からは、漣のような悪意は感じられない。
いや、それよりデートって…。
「そうだ。」
「ええっ?」
伊織の返答に、俺はまた驚いて声をあげた。
まさか、本当にデート?
俺、何も聞かされてない。
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