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2人で手を繋いで石段を上る。
男同士で手を繋ぐという行為は、後ろ指を指されるかもしれない。
でも、この石段を上っているのは俺と伊織だけ。
他には誰もいない。
右も左も木々ばかりで、その間を縫うように吹いてくる風が気持ちいい。
とても静かで、2人分の足音しか聞こえない。
…それにしても、長い。
上り始めてかれこれ5分は経ったように思う。
急な階段ではないにしろ、流石に少しずつ息があがってきた。
「疲れたか?」
隣を歩く伊織が気遣わしげに訊ねてきた。
「ん……大丈夫。……あの、どこに向かってるか、そろそろ聞いてもいい?」
「着いてから教える。」
やっぱり教えてくれない。
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