デートをしようか

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「……伊織とこうして出かけるの、初めてだね。」 それ以上追及するのは諦め、話題を変える。 俺がボソリと呟いた言葉に、伊織はゆっくりと俺の方に顔を向けた。 「そうか?」 「んー……まったくどこにも出かけなかったワケじゃないけど、こういう……デートっていうのは、初めてかな。」 改めてデートという単語を口にするのは気恥ずかしい。 伊織がそういうものに連れていってくれるとは思ってなかったし、俺も期待していたワケじゃなかった。 「恋人、だからな。…つっても、気に入るかは知らねぇが。」 そう言って伊織はまた前を向いた。 心なしか、握られた手に力が込められたような気がする。
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