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敢えて追及するようなことはせず、俺は神社に目を戻した。
小さい頃の伊織は、ここで───
俺の知らない幼い伊織が、ここでどんなふうに遊んでいたんだろう。
誰かと仲良く遊んでいたのか。
それとも、独りで遊んでいたのかな。
「───何を考えてる?」
不意に伊織が俺の顔を覗きこんできた。
「っ、別に?」
伊織の端正な顔立ちを目の前にドキッとして、はぐらかす。
でも。
「俺に隠し事か?」
「ちが────ぅんっ…」
何も言わせまいと降りてくる唇。
このまま食べられてしまうんじゃないかと思うくらい、情熱的に俺の唇を求めてくる。
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