プロローグ

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「…雅臣?」 不意に後ろから声がかかった。 俺の好きな低く落ち着いた声。 「起きたのか?」 俺の耳の近くで囁かれ、くすぐったい気持ちになる。 伊織は俺の首筋に顔を埋めるようにして唇を落としてきた。 「……ん、」 身体がゾクリと粟立ち、反応してしまいそうなのを堪えながら身を捩る。 けれど、伊織の逞しい腕が、逃げるのを許さなかった。 後ろからがっちりとホールドされ、身じろぎすることもできない。 そしてその間も伊織の攻撃が止むことはない。
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