2048人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
「い…おり、ダメ…こんな所で…」
息が荒くなりながらも、抵抗を試みる。
そんなもの、伊織の前では何の意味も持たないことくらい、わかっているけれど。
「ダメ? …“嫌”じゃなくて?」
「───っ」
意地悪な笑みを浮かべ、伊織が俺を見下ろす。
愛撫の手を止めることなく。
「こんな触り方じゃ、物足りねぇだろう…?」
耳元で囁かれ、全身の肌が粟立つ。
伊織の声は、低くて艶がある。
そしてそれは、俺の心も身体も一瞬にして支配してしまう。
気づけば俺は、床の上に横たえられていた。
伊織の、執拗に俺を攻める手は止まらない。
「いおりっ───も、やっ…」
「身体は嫌がってないみてぇだが…?」
伊織の意地悪な声が鼓膜をいやらしく刺激する。
伊織は顔を寄せ、俺の唇を塞いだ。
「んっ───」
互いの唾液が混ざりあい、溢れ落ちる。
何度も角度を変え、互いの舌を絡ませ、熱を分け合う。
今、ここには俺と伊織の2人しかいない。
静かな空間に、俺と伊織が触れあう衣擦れの音と…2人の荒い息の音が響く。
最初のコメントを投稿しよう!