2048人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
俺の中で、伊織が激しく動いている。
服を着たままの行為は久しぶりで、直接触れあえる部分が少ないことにもどかしさを感じるけれど、それが逆に俺の官能をくすぐる。
「あっ──はぁっ、は、あ…」
ここが何処だとか、声を抑える必要があるかとか、そんなのどうでもよかった。
絶え間なく与えられる熱とどうしようもない快感が、俺にそんなものを気にする余裕を奪っていく。
伊織の右手は俺の左手を指を絡ませしっかり握ってくれていて。
伊織の左手は俺の背中に回され、俺の身体をしっかりと抱きかかえていた。
「雅臣…」
吐息混じりに囁かれ、伊織の唇は何度も俺の唇を濡らす。
「伊織っ…伊織……────あっ…!」
「雅臣っ…」
ドクン、と心臓が大きく跳ねた直後、俺は絶頂を迎え、それと同時に俺の中に熱いモノが注がれるのを感じた。
「はぁっ…はぁっ…」
「…っ」
激しく胸を上下させる俺を、伊織は愛しげに見つめた。
俺の背中に回されていた伊織の手が、そっと俺の頬を撫でる。
「雅臣……俺は、どうしたらいい。」
「………」
「お前のことが、好きで…好きすぎて……『愛してる』なんて言葉じゃ、俺の気持ちを全部伝えられない。」
そんな伊織の言葉だけでも、俺には充分すぎるくらい極上だ。
俺も、同じ…
俺がどれだけ伊織を想っているか、それを全て伝えられる最適の言葉が存在すればいいのに。
最初のコメントを投稿しよう!