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窓のカーテンを閉めようと窓に近づくと、
「…!」
家の門の外に人影があるのが見えた。
家族が帰ってきたのかと思ったけれど、その人影は今立っている場所から動かない。
それによく見ると、家族じゃない。
知らない男だ。
男は窓から見下ろす俺に気づくと、薄く笑った。
その薄ら笑いに、服の中に氷を詰められたかのように全身が冷たくなる。
その人は他のどこでもない、2階の一部屋の窓の俺をまっすぐに見ていた。
眼球すら凍ったかのように、俺はその双眸から目をそらせない。
やがて男は身に纏うロングコートを翻すと、姿を消した。
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