第1章 僕らは……

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「精々、無駄な足掻きでもしておけ」 「………」 父親も立ち、同じ高さの視線。 変わらず細めた目が、小馬鹿にしているように感じる。 僕は、奥歯を噛み締め睨み続けた。 そんな険悪なムードの中、オジさんオバさんがいつものように談笑しリビングに入って来る。 父親から視線を外し、二人へ近寄ると僕の雰囲気を察してか真剣な表情で僕に注目が集まる。 下唇をキュッと噛みお世話になった二人に頭を深々と下げた。 突然だけれど……と辞める事を告げ詫びると、怒る事もなく飛んでくる言葉は 心配や激励ばかり。 家族の暖かさを、教えてくれた その都度感謝を心でしてきたが今日は言葉にしなくてはならない。 「今まで、有り難うございました……」 頭を上げられない。 いい年して泣くなんて カッコ悪い。 だけど、それだけ思い入れが強いんだ。 荒れていた僕を 拾ってくれたこの家のみんなに 感謝以外の気持ちが あるわけない。 ,
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