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俺は赤と白い花を咲かせていた背の高い樹木に興味を持った。
何故それなのか判らない。
俺の心は完全に奪われていた。
でも俺はその時には
《ドールハウス》
の前に突っ立っていたのだ。
あの花は、その店の脇に咲いていたのだった。
自然に……
まるで俺に与えられた使命のようにその枝を折ってから店のドアを叩いた。
中から女性が顔を出した。
その途端俺は興奮した。
あまりにもかけ離れた美人だったからだ。
「ドールハウスへようこそいらっしゃいませ」
俺は店員のその言葉で、此処が本当に
《ドールハウス》
なのだと言うことを意識した。
店員はすぐさま、心臓部だと思われる等身大フィギアのある部屋に案内した。
思わず目を見開いた。
其処にはチラシと同じ顔をした人形が整列させられていた。
それらはまるで生きているかのように殺気に満ち溢れていた。
コイツらは一体何者なんだ。
そんな思いにかられながらふと鏡を見る。
そして気付いた。
目の前のフィギアが俺そのものだと言うことに……
恐怖が俺を支配し初めていた。
俺は制止する店員を振り切って外に出た。
又意識が遠のく。
又って、前にもあったってことか?
一体此処は?
次に目覚めた時、俺は何を見るのだろう?
でも俺の身体はもう目覚めることは無かった。
何故なら俺は
《ドールハウス》
のマネキンとして売られて行く立場だったから。
俺達は金持ちのオモチャに過ぎなかったのだ。
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