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ずっと断り続けていた高校のクラス会に出よう、だなんて思ったのは。
あの頃自分がなにを考え、なにを思っていたのか知りたかったからかもしれない。
カオルは今、何を思うのか。
あの頃の俺だったら、もっと寄り添えていたのか。
そんな過去を、辿りたかったのかもしれない────。
*****
「っらっしゃいませー」
威勢のいいかけ声に迎えられ入った居酒屋は、週末ということもあって一段と混みあっていた。
「ご予約は?」
よく焼けた笑顔でそう問われ、口を開こうとしたとき。
「おー!冴島、こっち!!」
奥の座敷の引き戸が開き、懐かしい顔が俺を手招きした。
それに片手をあげて応えながら、応対しくれた店員に軽く頭を下げる。
その中に足を踏み入れると。
「はい、冴島とうちゃーく!!」
「うっわー!冴島久しぶりだなぁ!!」
「冴島君、男っぷりあげた!?」
「変わんねーなー!お前!!」
一瞬ひるむほどの勢いで拍手混じりに到着を歓迎され、たじろいたがどれも懐かしい面子で。
思わず笑顔になる。
「久しぶり。
────あれ、佐伯ハゲた?」
「ぶっはー!!きっついなーオイ」
「開口一番それかよ!!」
ちょうど目の前にいた同級生であるはずの、その貫禄のある姿につい、本音が口をついていた。
「オブラートに包むとかさぁ」
「やややっ、いーのいーの」
佐伯が周りのブーイングを大きなアクションで制止する。
かなり出来上がっているようだ。
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