第1章

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「俺、もー包むとか隠すとか、育てるとか植えるとか、疲れた! オブラートもヅラも、俺にはいらん! 俺は自由だーっ!!」 もはやネタ化しているのか、流暢な語り口と、高らかな拳で場が一気に湧く。 俺の到着のためにもう一度乾杯の音頭がとられ、照れ臭くも久しぶりの再会に心が沸いていた。 「ほんっと、久しぶりだなぁ。 8、9年ぶり?」 「卒業以来かな」 いじったのがきっかけで、隣を空けてくれた佐伯とグラスを打ちつけた。 佐伯とは三年間クラスも同じで出席番号も前後だったから、もはや腐れ縁だった。 「こっちにはよく戻ってんの?」 「全然。土日も部活だし遠征も多いからね」 「あー冴島、教師だっけ? 相変わらずバスケットやってんだ」 「ご名答」 ぐい、と流し込んだビールが渇いていた喉を潤し、きゅうっと刺激が鳴る。 決して大きくはないこの町を、大学の進学とともに出た。 仕事の忙しさにかまけて、なかなか実家に帰らない俺を、姉の樹(いつき)は親不孝者の極悪非道と、ののしる。 「今回はなんで?わざわざこのために帰ってきたのか?」 「んー、まぁーいろいろ」 瞬時に脳裏にむうっ、と頬を膨らませていたカオルが浮かぶ。 ふは、と思わず笑みが漏れた。 「なんだよ、気持ちわりーなぁ。 なんかいいことでもあんの?」 たこわさをつつきながら、佐伯がニヤリと意味ありげに俺を見る。 「別に。お前こそ、ナニ。 そのヤラシー顔」 「いやいやー?誰かさんに会えるから嬉しいのかと思ってさー」 「はぁ?」
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