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佐伯の意味ありげな言葉の意味を取り倦(あぐ)ねいていたら。
「冴島くーん!飲んでるぅー!?」
佐伯の反対側からバシィー!!
肩にズドン、とくる重い刺激と大音量に顔をしかめながら振り返る。
────誰だ。
そう思っていたのが顔に出ていたのか。
「やぁーだー。
畑山よ、畑山!!あまりの輝きに見惚れて声も出ないって!?
うはははは!!」
ふくよかな体と二重顎を気持ちよく揺らして、そう曰った。
「はた、け………え!?
畑山!?」
「そーよー。この美貌、見覚えあるでしょう?」
指の間接がなぜかえくぼ化する、これまた
立派な厚みを持つ手のひらを頬に当て、イヤンイヤンと体をくねらせるその姿に絶句する。
「ど、どうした畑山。
なにが起きた」
不躾だと思いながら、あまりの変貌っぷりにまじまじと視線をはわせてしまう。
それもそのはず。
高校時代の畑山は、テレビや雑誌で見るモデルよりも手足が長く、スタイルが良くてこっちが気後れしてしまうほどの美人だった。
なのに中身はサバサバしていて、女子とあまり絡む方ではなかった俺にも気さくに話しかけて来ていた。
当然、人気者でモテてたし、他校にファンもいた。
その畑山が、だ。
「お前………モデルになったんじゃなかったっけ?」
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