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「なーにいってんのぉ、佐伯君、
まだまだこれから!
私女の子生まれるまで頑張るのっ!」
完全に俺たちの年代を超越した経験豊富っぷりを醸し出しながら、自分で自分の弾けんばかりの胸を寄せて8の字に揉んでみせるが、もはや苦笑しかない。
「よかったな、いい旦那さんみたいで」
返す言葉に困りながら無難に答えたつもりが。
「は!?冴島君、本当になにも知らないのね」
「こいつ、鋭いようで温室育ちだからな。
噂になってたことすら知らないと思うぞ」
俺を間に挟みながら、佐伯と畑山が顔を見合わせ盛大にため息をこぼす。
そんな俺に視線を戻した佐伯が、親指で畑山を指すと。
「畑山の旦那、ポチャ井だ」
ポチャ………
「ポチャ井!?」
少しの間を置いて、脳に再生されるポチャ井………古典の細井先生。
思わずグラスを倒しそうになる。
名前は『細い』のに、力士並に豊満な肉体で、身長も大きくなかった。
決してイケメンの部類ではないし、いつもニコニコして雑用ばかりこなしている先生というイメージしかない。
その風貌のせいで、生徒の中ではポチャ井で通っていたし、本人もそれを知っていて楽しんでいた。
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