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思い思いに料理をつまみながら、一息つく。
「お前はどうなの。なにしてんだっけ?」
「俺?俺はしがない公務員だよ。
可もなく不可もなく、平坦な毎日」
佐伯が刺身を口に含みながら、ため息混じりにそう言った。
「そう思えば高校の頃が一番楽しかったかもなぁ」
「そうねっ!
私もあそこが人生のモテ期ピークだったし」
うんうん、と畑山が、大きく頷く。
「だってすごくね?
友達でもそうじゃなくても、学校行けば約束なんてしてなくても会えてさー。
そりゃ会社も同じだけど、明らかな上下関係あって、友達ってわけじゃないし。
気ぃ遣って顔色見て……なんかしたことやかったぞ、俺」
「何しても楽しかったわよねぇ。
いいことばかりじゃなかったけど、あんなに喜怒哀楽剥き出しで過ごしたの、高校生の時だけじゃないかなぁ」
枝豆を弄びながら、畑山が遠い目をする。
「言えてる。
バカみたいな夢はいくつもあったけど、将来の不安なんてなかったし、責任をとらなきゃいけないことなんか、なかったよな。
嫌いだなんだ言っても、守られてたんだよな、親や教師に」
「………そうかもな」
校内ではしゃぎ回る生徒たちの姿が浮かび、自然と口元が緩む。
今しかできないこと、今しか経験できないこと。
全身で味わってるんだな、きっと。
「冴島君は、部活ざんまいだったの?」
「ん、まぁ」
「モテてたな、ムカつくくらい」
「よく言う。野球部キャプテンのお前に言われると嫌みでしかない」
苦笑いを返しながら、店員に生中をもう一杯頼む。
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