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ハッと目を開けると、そこは見慣れた学校の教室だった。ざわざわと落ち着きのないクラスメイト達は、各各友人と集まり笑いあっている。
いつもの風景だ。なにも変わらない。
昨日の夜の事を思い出そうと思考し始めた時、私を呼ぶ声がした。
「クレヨンー」
ギシ、と音が鳴る。心の中で古傷が軋んで血を流す音。
……なんだ、夢の中でも同じじゃん。いや現実だから同じなのか。
そう思いながら、あれ私いつ寝たんだっけ?と首をかしげかける。
「ちょっとクレヨンってば!!」
苛立った声と、目の前の机に打ち付けられた両手による衝撃で、私は目を丸くした。
目の前にいるのは、長い髪をクルクルに巻いた女子。ピンクのうるうる唇をツンと尖らせて私を見下ろしている。
またジュースの催促だろうか。
「お金持ってないから」
「は?なに言ってんの?ったく、ボーッとしてんだから!」
「……はぁ」
「はぁじゃないっ!!それより今朝のメールになんで返事くれないの?」
むにー、と私の頬を摘まむ彼女の楽しそうな笑顔を見て、私は今年度最大の声を出した。
「……はぁ!?」
しかも裏返った。
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