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気付けば…真っ白な、世界にいた。 「どうだった? 話せて。」 真っ白な空間の中、同じく真っ白な羽をぱたぱたと嬉しそうに動かすキュー太の姿があって。 「よかった。」 「端的だね。 もっと何か無いの?」 こっちはまだ傷心中だというのに、あまりに明け透けな態度なものだから、少し意地悪したくなった。 「あえて言うなら、後五十年くらい傘増ししてくれない?ってくらい物足りなかった、かな。 ちょうだいよ。」 ちょっとくらい困れ。 「そうなんだ。 …でも、君には必要ないよ。」 なんて私の狙いは大外れ…彼は苦笑するどころか、やけに嬉しそうに微笑み続けている。 「なんでよ?」 「もうすぐ、分かるよ。」 と、キュー太が意味深な返事をした途端、この真っ白な世界を強烈な地震が襲った。 「ほら、ね?」 「ほらって言われても! どういう事!?」 「これで君ともお別れかな。 いやぁ、“仕事”の後は実に清々しいね。 実に。」 「…だから、さっきから何言って…」 「代金はそうだな………いつか天界に来たなら、ぼくに生を一杯奢っておくれよ。 その頃には流石に未成年じゃないでしょ?」 「天界にビールってあるの? いや、そうじゃなくって! …じゃあ、あんたの仕事って?」 ここにきて漸くキュー太は私の問いに反応し、両手の指先を合わせてハートのマークを作る。 「キューピット、だよ。」 世界が、暗転した。
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