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私の体が病院に着いてから暫くして。 集中治療室の前で、私の両親、運痴な例の友達、そして幼馴染のアイツ───キョウスケ、それから高校の担任等々が順次やってきて、手術の真っ最中だというのに、既にお通夜状態だった。 胸が苦しくなる。 決して満腹による胸焼けじゃない。 彼ら彼女らに、こんな悲痛な表情をさせてしまった自分が、とんでもなく悪い事をしてしまった様な気がして。 お父さんはいつも物静かだけれど、私のテストの点が少し上がっただけでも気付くし、毛先だけ切っただけでも気付いて褒めてくれるほど、ちゃんと私を見守ってくれていた。 お母さんはいつもにこにこ優しくって、私とキョウスケとの事になるとやけに興味深々に食いついてくる、母であり友でもある様な…いつでも私の一番近くに居てくれた。 親不孝者だ、私。 苦しくて哀しくて、泣き出したくて…ここに居るって、皆に気付いて欲しくって、叫び出しそうだった。 そんな時だ。 「君は…最後にもう一度話せるとしたら、誰と話す?」 「ひゃ!?」 背後からかかる声に驚いて、ナースステーションからくすねたクッキーの袋を落としたのは。 いや、何でか知らないけど食べ物関係になると、私も物理干渉できるみたいなのよ。 まぁ私が触れた途端、ナースの皆さんもクッキーが認識できなくなったから、多分その力を使って誰かに気付いて貰ったりはできないだろうけど。 「ん?」 パサリと落ちた音に気付いたのはキョウスケで、袋を手にとって周りを見渡して不思議そうに首を傾げた。 当然だ。 彼にも、生きてる全ての人に私は見えていないのだから─── 「キョウスケ……私……」 このまま私は、胸に抱えたこの想いを彼に伝える事もなく、天国か地獄に旅立ってしまうのだろうか。 考えるだけで、どうしようもなく─── 「ふむ…キョウスケ君が良いんだ? そうかそうか。」 「って、あんた誰よ!?」 振り返った先に居たのは、 白髪の爽やかスマイルが似合う白いローブを着たイケメンだった。 ただ、いくらイケメンといえど、白髪の上には光る輪っかがあるし、その背中には純白といって差し支えない羽がある。 きっとコスプレ趣味の変態だろうから、論外ね。
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