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訝しげに見る私に、天使コスプレの変態は慌てた様にワタワタと手を振る。
「コ、コレは本物だよ! 偽物じゃないよ!」
彼が背を向けて見せてきた羽はパタパタ動くし、体に直接くっついてたから本物だと認めても良さそう。 服の背に穴をあけて素肌を晒すなんて、やっぱりとんだ変態だけれど。
それにしてもこの変態は私の心の内まで読めるらしく、迂闊な事は考えられないみたい。 迷惑だからできればやめて欲しい。
「で、変態さんは何しにきたの? お迎え?」
「お迎えじゃないよ。 それはぼくの仕事じゃないかな。…あと、ぼくキュー太って言うんだ。 変態はやめて欲しいな…。」
苦笑するのが何処かサマになるのも、イケメンの為せる技だろうか。
「お迎えじゃないなら、何なの? もしかして天使の奇跡のチカラで傷を治してくれるの!? ありがとう!」
「いや、ありがとうって…治せないよ?」
「治せないの? …チッ」
「舌打ちした!? 女の子がなんてはしたない!」
この天使…キュー太とやらが女の子というものにどんな幻想を抱いているかは知らないけど、女の子なんて大体こんなものだと思う。
女子校に行った知り合いのとこに遊びに行ってみた事があるけど、寮の部屋に着くまでだけでびっくりした。
だって廊下に下着とかエロ本とか落ちてたんだもの。
同じ女の私でも驚くべき光景だったけれど、兎に角そんな子だっているのだ…という話。
「いや、職業柄分かってはいるんだけどさ。」
「だから勝手に読まないでよ。」
うな垂れるキュー太を、私はこれでもかという程目を細めて睨むのだった。
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