26人が本棚に入れています
本棚に追加
テープを再生して、モニターのグラフを見ている。
「面白いですね。まず、冬子さんのお母さんの音声と『声』を比較しました。
結果、『声』はお母さんの声に似て聴こえますが、人間の声帯を通したモノではありません」
「人間じゃない? 幽霊だから当たり前だけど」アオネが答えた。
「そして、この鼻歌が興味深いですね……」
スタッフがそう言ったきり、口を閉ざしてしまった。
「どうしたの?」
「アオネさん、ソルフェジオ周波数って知ってますか?」
「ソルフェジオ周波数?」
「中世のグレゴリオ聖歌に見られる音階の周波数です」
「そういえばこの鼻歌、霊歌に聴こえるね」
「霊歌って、ゴスペルソングのこと?」
アオネの指摘に、私は訊ねた。
「ああ、良い指摘ですね。
知ってますか? 霊歌ってスピリチュアルという意味があることを」
スタッフが薀蓄を語った。アオネと私は顔を見合わせる。
「すいません、調子に乗ってしまった。
この鼻歌に、そのソルフェジオ周波数が使われているのです。
『528Hzのミ』と『741Hzのソ』から構成されていまして、
『528Hz』は愛の周波数と呼ばれているんですよ」
最初のコメントを投稿しよう!