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わたし、星野友香は、半年前まで普通の女子大生だった。
父が経営する会社の業績が思わしくないと知ったのは、本当に偶然のことだった。
夜更けのリビングに漏れ聞こえた話し声。
家まで抵当に入れてしまったのだと言った父に、涙を流して頷く母。
従業員は50人程度の小さな会社だったけれど。
それまでは、何不自由ない生活を送っていたのだ。
このままだと、この家を取られてしまうと泣き崩れる母の姿を見て、わたしは黙って夜働くことに決めたのだ。
夜の仕事に抵抗が無かったわけじゃない。
けれど、その時のわたしは、他に選択肢がないように思い込んでしまった。
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