第1話

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   ベッドから出ようとすると、不意に腕を掴まれてベッドの中に引き戻された。 「俺の傍から離れることは赦さない」 いつ目を覚ましたのだろう。 陸がわたしに鋭い眼差しを向けていた。 「……いつまで?」 「俺の気が済むまで。でも、安心しろ。友香と結婚なんて有り得ないからさ」 そのうち解放してやるよ、と陸は掠れた声で笑った。 音の無い部屋に、陸の笑い声が響く。 耳を塞いでも、いつまでも陸の声が鼓膜に残っていた。
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