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陸は徐に身体を起こすと、わたしの髪に指を差し入れて、甘く囁くように言葉を紡ぎ出した。
「まだ、空に逢いたい?」
「当たり前じゃない!」
その手を払いのけて陸を睨む。
陸はそんなわたしを見て、なにか企んでいるようにふわりと微笑んだ。
「じゃあ、死にかけの空に逢わせてやるよ」
「えっ?」
空が死にかけている?
……嘘よ。そんなこと、信じない。
そう思っても、陸の言葉は、わたしの身体から容赦無く体温を奪っていく。
ガタガタと震え出すわたしを面白そうに見下ろして、陸は言葉を続けた。
「逢いたいって言ったのは友香だろ?いいよ。今にも死にそうな青白い顔の空を見るといい」
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