第1話

22/37

4667人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
  陸は美しい顔で微笑むと、わたしの肌に指を滑らせた。 どうしてなの? どうして、実の兄の恋人に、こんなことが出来るの? 「止めて」 そう言ったところで、陸の行為が止まったことは一度もない。 それでも、言わずにはいられなかった。 わたしの肌を撫で回しながら、陸は器用に身に纏っているものを過ぎ捨てていく。 止めて。わたしに触らないで。 空、助けて。 お願い、空。お願い……。 けれど、わたしの心の叫びは、誰にも届かなかった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4667人が本棚に入れています
本棚に追加