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陸が空に逢わせてやると口走ってから数日後
わたしは陸と空が入院している病院に向かっていた。
期待と不安が入り混じっていた。
空の意識が無いなんて、この目で確認するまでは、信じられなかったのだ。
敷地内に中庭がある大学病院。
そこに空は入院していた。
病院独特の匂いと、清潔さを過度に強調したような白い空間に目眩がする。
その中を息をひそめて進んでいく。
空にやっと逢える。
それだけで、状況が変わるかもしれないと、淡い期待を抱いていた。
だけど……。
空の病室に入った瞬間、わたしの願いは粉々に打ち砕かれてしまった。
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