4668人が本棚に入れています
本棚に追加
「……空」
ベッドに横たわる姿は、前回と変わりないように思えた。
それが良いのか悪いのか、わたしにはわからない。
けれど、まだ空が目覚める可能性が十分にあるように思えて、冷たい空の手を握りながら、わたしはホッと胸を撫で下ろしていた。
陸が言った言葉は、ただわたしを傷つけるためだけで、本心じゃないのだろう。
そう思えば、少し気持ちも落ち着くような気がした。
願いを込めて、空の手の甲にキスをする。
「空、早く目覚めて……」
そして、わたしを抱きしめて「大丈夫だよ」と言って欲しい。
空のその一言で、わたしは何があっても頑張れると思うから。
それが、叶わなくても。
せめて、元気な姿を取り戻して欲しい。
最初のコメントを投稿しよう!