第1話

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   空の顔を見たら直ぐに帰るつもりだったのに、なかなか離れることが出来なくて、予定の時間を大幅に過ぎてしまっていた。 いい加減戻らなきゃ。 現実に引き戻される感覚に、自然と溜め息が漏れた。 「空、また来るね」 次はいつになるかわからないけれど。 その言葉は飲み込んで、最後にもう一度、手の甲にそっとキスをする。 と、そのとき。 わたしはあることに気が付いてしまったのだ。 これは、どういうこと? まさか、そんな……。 鈍器で頭を殴られたようなショックを受けた。 眩暈がして立っていられなくなり、その場にへたりこむと、愕然として空を見つめた。
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