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陸は愛しいものに口づけをするように、わたしの額にチュッと音を立ててキスをした。
「何だよ、その目?俺を殺したいのか?」
「……っ」
「いいよ。殺せよ。でも、俺が死ねば、友香の家族だけじゃなく、従業員とその家族も路頭に迷うことになる。
それをわかって言っているんだろうな?」
今、陸の会社に手を引かれたら、父は莫大な借金を背負うことになるだろう。
当然、会社は潰れて従業員は職を失う。 もう何度も聞かされた話だ。
「せめて、空に会わせて」
「無理だな。まだ意識が戻ってないんだよ」
空は事故に遭って入院している。
この話も陸に聞かされた。嘘か本当かわからない。
だけど、空からは連絡が途絶えて、代わりに陸がわたしの前に現れた。
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