第1話

5/37

4667人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
  男にしては綺麗な陸の手が伸びてきた。 ベッドのスプリングが軋むと同時に、陸がわたしに馬乗りになって首を絞める。 わたしは苦しくて、その腕を掴んで悶える。 わたしの爪が陸の腕に食い込んで、うっすら血が滲んでいるのが見えた。 このまま力を緩めずに、わたしを殺して。 そう願うと、途端に陸はわたしの首を絞めている腕の力を抜いた。 急激に空気を吸い込んで、咳き込むわたしを冷たく見下ろしながら、陸は自分の服を脱ぎ始めた。 無駄のないしなやかな身体も空と同じだ。 脳に酸素が足りていないのか、意識が曖昧になっていく。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4667人が本棚に入れています
本棚に追加