夢の中の君に恋をする 第1話

第１話

このマンションは、陸の持ち物だ。

わたしは此処に囚われている。

行動を監視されているわけでも、制限されているわけでもない。

ただ、試すように突然現れる陸をわたしが出迎えなければ、代わりに愛莉がここに連れてこられる。

結局、わたしに自由はないのだ。

「友香」

声色が変わった。

薄茶色の瞳を無くなるほど細めて微笑む。

その表情は、空そのものだった。