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交流会当日がやってくる。
この日は皆が華やかな姿で登場する。しかし、肝心のクウェルフト姉妹は受けを狙っているのか、それとも本気なのか、クロウはメイド服、アロウは死神装束で現れた。
ネタだと信じたい。あれで本気だと、交流会を嘗めている。それを目撃した担任が崩れ落ちる様が目に浮かぶ。もう少し担任の気持を考えてやれよ、そして猫耳を装着するんだ!!
「こ、これは、アロウ・クウェルフトさん、その格好はどうしたんですか?」
「なに、この格好だったら箔が付くと思ってな、妹を惑わす虫に対して意味があるだろ」
このシスコンめ、と心の中で呟くも絶対に顔には出さない。
アロウに喧嘩を売って無事に帰ってきた奴は誰ひとりいないからだ。俺もまだ生きていたいからな。
「おいおい、何シスコンぶりを発揮しているんだ、お前らは」
横から割り込んでくる勇気のある少年はクラインしかいない。
挨拶を済ませた男子は煙のように消え去っている。
「あら、ナルシスト君、パートナーは見つかったのかな?」
「私のナイトをそのような下賤な呼び方をしないでくれませんか、シスコンさん」
そこには高貴な華を惑わした女性が立っていた。しかも、クラインと腕まで組んでいる。
「あれ、とうとう魅惑の薬でも使って、この犯罪者め」
「やめてくれ、こいつはこれでも一応俺の婚約者だ」
は? という呆けた顔になるアロウ。
「浮気者め」
「やめろ、誤解を生むような発言をするんじゃない」
「あら、リリスはいつから浮気をするようになったのかしら? 私の事スキよね? もしかして、嫌いに――」
「まてまてまて、慌てるな、セリシア、俺は浮気などしていないぞ」
セリシアという名前に、クロウが反応した。
「セリシア? あれ、どこかで聞いたことある気がする」
「ベリアル・ロズワルト・セリシア――この国では第一貴族の一人娘でしょ、クロウ」
「ああ、この前、迷子騒動のあった女の子ね。覚えている」
そう言うと、セリシアの顔が真っ赤に燃え上がる。
「そ、そのようなことはなくてよ」
「でも、私、ロズワルト当主から、捜索の依頼を受けたから、報奨金ももらったし……」
そしてさらに顔を赤め、クラインの胸にうずめる。
「リリス、彼女たちが私をいじめるのです」
「お前、その年で迷子ってどういうことだよ」
さらなる追撃で彼女は崩れ落ちた。
「うわ、婚約者にも容赦のない態度とか、ひどい、紳士じゃないわね、もはや外道」
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