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「お前らに言われたかねえよ」
その後、泣き崩れたベリアルを宥めなんとか持ち直した彼女は目を真っ赤にしながら、覚えておきなさいよといってその場を後にした。
「負け犬の言葉に似ている」
「そうだね、お姉ちゃん」
そして色々な人と挨拶をすませ、最後に担任のところに向かうクウェルフト姉妹。
すでに担任は蒼白な顔をしていた。
「お前ら、私の気持ちを考えたことはあるか?」
「全くないです」
アロウは無邪気に答える。
「お前の右腕に抱えられている鎌で魂を持って行かれた気分だよ」
「それは良かったです。その為に持ってきたので」
「お前は――はあ、だが、表彰では変な事をいうなよ」
「――はい」
楽しそうな返事だった。
絶対になんかありそうな笑顔だった。その笑顔を見て頭を悩ませ、そして願う。
何も起こらないことを。しかし彼女の思惑は外れ、表彰で彼女は――
「では、アンケートの結果による表彰です――まず」
その表彰では、まず男子から発表される。
基本はカッコイイ男子、可愛い男子、カッコイイ女子、可愛い女子。だたの人気投票だが、一年では恒例に行われているアンケートだ。また別枠で、成績優秀者から特待生の発表も今日行われる。基本、アンケートとかぶることは少ない。
しかし、今年はクウェルフト姉妹がいるので、なんとも言えない気がする。
最初に呼ばれたのは――
「――クライン・ロストナイト・リリス」
クラインだった。
この表彰にBクラスの人間は大変驚いた。もはや何が起きたのかわからない。
しかし、当の本人は少し察していたらしい。
高等部になってまさか着ることはないと信じていたドレスを彼は来ていた。
というか、彼がクラインには見えなかった。
「あれが、クライン?」
そこには、赤いドレス姿の清楚な女性が立っていたのだ。
誰が彼をクラインと呼ぶだろうか、もはや男ではない。
しかし、となりに付きまとうように声援を送っているのは先ほど赤っ恥をかいたベリアルだ。
彼女が傍にいるのならば、彼はクラインなのだろう。信じたくはないのだが。
「可愛いね、クラインちゃん」
「ぷくく、クラインちゃん(笑) そうだね」
その呼び名に、少しだけつぼったのか、彼女は腹を抱えて笑いをこらえていた。
「続いて――――ロスター・グラディアス・ローズ」
そう呼ばれた男子を私知らなかった。女子から歓声をもらいながら壇上に上がる彼は確かに人気をとれる凛とした姿だった。
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