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そして異変は起き始める。
その日は担任がいつもに増して真面目な顔だった。何かが起こる気がした。以前の騒動に加え数々の問題を起こしてきたクウェルフト姉妹が学園上層部に呼び出しを喰らったのだ。
生きて帰ってこれるか不安なのか、呆れているのか、担任の表情からは何を考えているのか解らなかった。
「逝ってこい」
しかし、彼女らはこの時を待っていたのだ。これまでの問題は意図的に行われたといっても誰も信じないだろう。しかし彼女たちも不利になることを率先して行うわけが無い。
そもそも、クロウの方はこれでも戦術部門一位の成績を収めている。
「にゃはは、この時がやっと来たか」
そのつぶやきは誰にも聞こえなかった。
悪魔のような笑顔で彼女らは教室から出て行った。後には平和な教室が広がっているのだ。
学園長の部屋の中にはとある部屋への直結の転移陣がある。
そこで、彼らは待っているのだ。
「やっと来たか、馬鹿ども」
「初めましてといおうか? クウェルフト姉妹」
威厳のある声が大きな部屋を反響するように響いた。
ずっしりと座りこむ彼こそ、この国の王、ガリス・クルセイド・シャルルである。クルセイド国を数千年の間守り継いできた、守護神とも言われる王は恐怖しか与えなかっただろう。けれども、クウェルフトは四六時中笑顔だった。
「これはこれは、王自身が私たちを呼びだすとは、恐れ入ったにゃあ」
「クロウ、阿呆みたいだよ」
「にゃははは」
ずっと笑っているクロウに対して姉の方のアロウは少しだけしかめつらをしていた。
「要件は理解しているだろうな」
「にゃんのことだい?」
理解していないふりを装う。それにあきれ果てる周りの人間だが、それが演技ということを王とアロウだけ知っている。
「クロウのその態度が今までの問題を生んだんだろう、アロウ・クウェルフト、貴様はもう少し妹に首輪でも付けていなかったのか? 放し飼いとは度胸のある人間だ」
「妹に首輪だなんて、いや、そっちのプレイもアリか」
何を考えているんだろうか、アロウの顔がにやけているのはクロウは無視した。
「それで、王、説教だけではないのだろう、まあ、ロスター・グラディアス・ローズの件は申し訳なかったが、あれが無ければ貴方は下々の平民の呼びだしなんぞ出来ないのだからなにゃ。あれも仕方が無いことだ」
「なんだと、貴様、我を侮辱――」
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